あらすじ
———2017年夏。
50年前に地図から消えたはずの島が、何の前触れもなく海上に浮かんでいた。
その名は、晏唐島(あんとうじま)。
原因は不明。記録も不明。
ただ一つ確かなのは、「本来、存在してはならない」ということだった。
島の再出現から5年後――2022年、夏。
大学生・新締アトリは、留年を回避するための“調査課題”として、この晏唐島への渡航を命じられる。
だが、そこは誰もいないはずの廃墟ではなかった。
電波は絶たれ、船は消え、
仲間は錯乱し、疑心と恐怖が人間の形を奪っていく。
見たことのない“恐怖”がそこにあった。
目に映るすべてが狂い始め、
聞こえる声は意味を失い、
理性が、
信頼が、
世界が、
ゆっくりと喰われていく。
崩れた神社。
沈められた記憶。
海底に葬られた信仰。
この島に刻まれていたのは、
人ならざる何かへの“祈り”と“贄”の歴史だった。
歪められた信仰の果てに、“この島が封じていたもの”とは何なのか。
――この島で生き残った者は、
「語ってはならない」と、彼女に言われた。
なぜなら、それは———、