あらすじ

「貴方のお言葉が、わたくしに向けられたものでないのは分かっています。それでも、わたくしは貴方のお傍にいたいのです」 大英帝国の都ロンドン、一八〇六年。 その前年の十月、それまで破竹の勢いでヨーロッパ大陸を支配下に納めていたナポレオンを、イギリス海軍はトラファルガーの海戦で打ち破った。 成り上がりの野望を砕き、本土防衛を成し遂げたと喜びに湧く社交界をよそに、子爵令嬢ジュリエットはひっそりと馬車に揺られていた。その戦闘で婚約者を失った彼女は、その後のある出来事によって社交界での居場所を失ってしまったのだ。 「手紙・書類の朗読及び代筆係求む。貴族の女性らしい美しい文章を書ける方。容姿・年齢不問」 この風変わりな求人広告だけを頼りにロンドンを離れたジュリエットは、雇い主が誰であるかを知らされて驚愕する。 その名はロバート・グリーンウッド将軍。トラファルガーの海戦を指揮したネルソン提督の右腕として、イギリス海軍を勝利に導いた立役者の一人だ。 だが彼は、その栄光の代償として視力を失い、絶望のどん底で領地に引き籠っていたのだった。 ジュリエットに課せられたのは、将軍宛の手紙を朗読し、返事を代筆すること。 そして、もう一つ。 ロンドンでの噂を耳にしていたロバートからもメイド頭からも歓迎されないまま、ジュリエットは屋敷に滞在することになったのだが……。 ※時代と場所は特定していますが、架空の物語です。実在の人物とは一切関係がありません。また、当時の世相や風俗、社会常識、あるいは地理的情報については可能な限り史実に基づいて記載してありますが、作者の創造による部分もあることをご了承の上、お読み頂ければ幸いです。

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カクヨム
カクヨム2025/08/08
  • 現在の作品あなたの声は想いを奏で、私のペンは希望を紡ぐ