あらすじ
神崎愛子は十五歳。
両親は幼い日に亡くなり、鎭守府で祖父・源次郎と二人で暮らしていた。
監察医である源次郎から、様々な知識を得ていた愛子。優しい祖父の源次郎を手伝い、患者達に誠心誠意尽くす愛子を海軍中将の紫原哲郎は自分の部下・工藤透匡(くどうゆきまさ)の妻にと考える。
しかし、あれから数年後、源次郎は亡くなり愛子は親族の邸で使用人として働かされていた。
二十歳になる愛子に、大叔母は自身の娘に来た縁談を愛子に押し付ける。
相手は愛子より二十五歳も年上の四十五歳。まだ十七の実娘を嫁がせたくないと、愛子を寄越すことにしたのだ。
嫌とも言えず、追い出されるように工藤家に向かった愛子。対する透匡は海軍で、『海神の化身』と畏敬される男だった。
優しい穏やかな透匡と、優しく聡明な愛子。互いに、少しずつ惹かれ合う。
一方、大叔母の家では当主が過労で亡くなり、銀行が次々と融資を拒んでいた。