あらすじ
赤嶺柊(あかみねしゅう)はかつて、名も知らぬ“ヒーロー”に命を救われた。爆煙のなか、鮮やかな一閃とともに現れたその背中に、彼は確かに憧れを刻みつけられた──この世界に、真の正義が存在するのだと信じたからだ。
だがそれはもう過去の幻想。現在の世界では、“英雄”という在り方そのものが禁じられていた。
王国特異行為監察局に所属している“特異(ペキュリア)審律官”と呼ばれる者たちが現れ、戦争と混乱の果てに制定されたのは「対英雄均衡法」。それは「個は秩序を乱し、力は均衡を壊す。よって、力を持つ者は英雄を名乗ることを禁ず」というものだった。
そのような世の中になったため、小さい頃の夢は次第に薄らぎ今では均衡を保つための何もない日常を送っていた。
だがある日、赤嶺たちの通う学校に一人の転校生──霧生澪(きりゅうみお)という少女が現れる。金色の髪を揺らすその少女は、どこか浮世離れした雰囲気を纏っていた。そして彼女の存在が、やがて赤嶺の過去と、そして世界の在り方そのものを揺るがす大きなうねりへと繋がっていく。
これは、禁じられた“ヒーロー”という理想をそれでもなお貫こうとする少年と、謎多き少女が紡ぐ、もう一つの正義の物語である。