あらすじ
何をやっても上手くいかない。中学生になったばかりの梶田俊一はその夏、父親の手で強制入塾させられた。学業成績の悪さが原因にあったという。幼いころに母を亡くした彼。身勝手で家庭を顧みようとしない父のせいにより俊一の心は常に乱れていた。塾で真面目に勉強する気になどなれたものではない。問題児扱いされることも多かった中、ひたむきに努力を惜しまない塾生渡辺絵美に心を奪われ始める彼。成績は悪く、クラスの中では(俊一を除き)唯一足手まといな存在であった。
そんな中、彼女に対し心を開き始めた俊一。自ら積極的に話を持ち掛けていこうともする。警戒心の強かった絵美も徐々に笑顔を見せるようになり、関係は良好なものに。厳しい授業も乗り越え乗り越えいつしか受験を迎えた最中、絵美は突然塾を辞めてしまった。教師に聞いてもろくな答えは返ってこず。自分のことだけ専念しろ!
失意の中、指定校推薦で受けた学校に見事合格した俊一。同じクラスで会ったのは何と..絵美だった。適応障害が原因で受験から目を背けてしまったよう。それでも希望を捨てず独学で勉強していた。真剣な恋へと落ちていったのはここから。愛情表現がソフトでかつ不器用な二人が二人三脚で築いていったその世界。
俊一はやがてその世界を自らの手で壊してしまった。たった一つの過ちによって。自分は何と気ままでひどい男だったのだろう。絵美は当然許そうとはしなかった。心の中に一生残り続ける後悔を作ってしまった彼。今となっては取り返しのつかない。