あらすじ

私には霊感が無く、幽霊を見たことがありません。ですから、不忍池で私が見たものは女の幽霊でも何でもないと思いますけど、凄く強い印象が残っています。あの女性がいなければ、この小説は書けなかったです。どれだけ感謝しても足りません。そう言っておいて何ですけど、本作品の出来は悪いです(苦笑い)。それなら私の上出来な小説はどれですかって話になるわけですけど、それは言いっこなしでお願いします。  女主人公の相手役の男性は、実在のモデルが、複数います。そういう境遇の人たちを想って書いたのですが、もしも本作品中での描かれ方を不快に思われる方がいらしたとしたら、深く陳謝致します。  こういう感じのアベックと申しますかカップルを考えたとき、思い浮かんだ作品は、作中に名前を挙げたほかにマージョリイ・ケロッグ(著)榊原晃三(訳)『愛しているといってくれ』(ハヤカワNV文庫、1972年、原題『TELL ME THAT YOU LOVE ME, JUNIE MOON』)があります。マイナーな小説ですけど、好きです。私は恋愛小説特有の湿り気と生臭さが苦手で読んでいると気色悪くなるのですが、この作品は文章が乾いていてクール、とても読みやすかったです。書いていて思い出しました。他にも好きな恋愛小説がありましたよ。私のようにベタベタした恋愛小説が嫌いな方にもお勧めなのが『贅沢な恋人たち』というアンソロジーの解説代わりに氷室冴子が書いたショート・ストーリー『解説にかえて――島のホテル』です。濃密な花の匂いが満ちる南の島の暑い夜の、熱い恋の終わりを描いているのですけど、本編に収録された多くの作家の短編より私の好みに合っていました。経営が傾き廃業が噂されるホテルと、年下の恋人との別れの予感が重なるところに痺れました。手元に無くて読めないのが残念です。こうしてみると、もっと恋愛小説で好きな作品があったような……思い出しました。これも氷室冴子の小説『海がきこえる』です。この作品も参りました。ヒロイン武藤里伽子(むとうりかこ)(←作品情報のページにルビが付かないのは悲しいですね)の魅力は勿論ですけど、何より小説の構成に感嘆したのです。ヒロインとの関わりより先に、主人公と友人との関係が描かれるのですが、これが物語をビターな味に仕上げていて心地好いです。それから向田邦子の『あ・うん』も良かったと今、思い出しました。

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エブリスタ
エブリスタ2022/10/20
  • 現在の作品私の中の君は、私の先生