あらすじ

「助けて」と母は言った――特養の窓辺で

「助けて」――母の声

静かな午後に 電話が鳴った
「たすけて」と震える 母の声がした

消毒液の匂いの中
白い壁に 沈黙がこだまする
施設の部屋で 母は
声をひそめて 生きていた

ごめんね、と
笑ったはずのその日
寂しさは ベッドの隅に積もり
冷たい床に 夢がこぼれていた

髪は乱れ
服はしわに覆われ
忘れられた日々の中
母は ただ 待っていた

「安心」の名を借りた孤独
「介護」の名を借りた放置
信じた制度は
人手という現実に 脆く崩れた

母を連れ帰る
小さなアパートの部屋に
手探りで灯す 暮らしの光

夜中の介助
転倒の恐怖
それでも
母が笑う ただそれだけで

ありがとう、と
弱い声が 心に沁みる
母の手は こんなにも細く
けれど 温かかった

これは 絶望の詩ではない
孤独の叫びでもない
灯りを繋ぐ 人の物語

ひとりでは抱えきれなくても
誰かとなら 越えられる
この嵐のような現実を

母よ、
あなたの「助けて」は
生きていた証

そして
わたしが生きる理由

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アルファポリス
アルファポリス2025/08/08
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