あらすじ
魔王が封印されて、二〇年。
国境近くの山間の集落の外れに暮らす天涯孤独のシェーラ・マークス。甲冑〈パパ〉の力を借りながら、ひっそりとエンバーマーとしてどうにか食いつないでいた。
魔王討伐の四英雄の一人の亡き父の異能を譲り受け、生来の異能とあわせて二つの異能を持つ若き博士のスウォン・クラウド。無実の罪を晴らすため追手をかわしながら王都を目指していた。
――季節外れの嵐は、大いなる黎明をもたらす
古い忘れさられた言い伝えに導かれるように、嵐の夜、二人は出会った。
生い立ちに少々訳ありなシェーラは、スウォンたちとともに故郷を捨てて王都を目指すことを決意する。
スウォンも彼女自身が気づいていない因縁から、王都に連れて行くことに。
〈王の手《キングスハンド》〉の英雄王。
王との結婚を待ち望む聖女。
スウォンの叔父で王国の実権を握る〈完全無欠の記録《パーフェクト・レコード》〉の不忘卿をはじめとした御三家の異能持ちたち。
世界を落日に導かんと暗躍する謎の教団。
王国を守るためなら赤子も殺すという謎多き〈奈落〉の黒王様。
――それから、湖上神殿に封印された魔王。
様々な思惑が交錯する王都に深く澄んだ湖の蒼い瞳のシェーラがついた時、止まっていた物語の歯車がゆっくりと動き出す。
はたして、その先にあるのは言い伝えの大いなる黎明か、あるいは――