あらすじ
あっ、ぜんそくの発作が来る。
まどろみから覚めた視線が絵に描いたような汚部屋を捉えた。
ああ……そうか、ここは去年、亡くなったおじさんの家。
とにかく薬。
薬が入ったバッグに手を伸ばそうとしたら、ふわふわしたもので額をぺしっと叩かれた。
「園子!ほれ、シクレソニドを吸引するのじゃ!」
声がしたほうを見ると、桃色の毛並みのタヌキ。
ただし、縫いぐるみ。
あ……、これはあれだ。
子どものころ、大事にしていた縫いぐるみ。
「ポン太……」
うら寂しい風情のへたり具合。
ゴミ?って判断されて真っ先に処分されるレベル。
……これが、私(町田園子 職業・心理カウンセラー)とポン太の再会だった……。
【表紙絵はmoka様。無断転載はご遠慮ください。】