あらすじ
僕が恋した人は神の子だった。
神を信じる彼女と神を信じない僕はどう交わるのか。
「あなたは神を信じますか」
桜が散りかけた大学のキャンパス、彼女はそう語りかけた。
彼女は長い髪をポニーテールにまとめ、切れ長の目、ほっそりとした身体、柔らかな声。
その年の春は暖かく、桜はもう満開を過ぎていた。
桜の花びらの落下速度は秒速5センチメートル、そんな題名のアニメがあったっけ。切ないストーリー。
僕の大学生活の始まり、大学では新入生を待ちかまえたサークルの勧誘まっさかりだった。折りたたみ長机が並ぶサークル宣伝の中、聖書研究サークルのマジックの文字。
「神の定義って何ですか」
僕は思わず反応した。
彼女は一瞬丸い目をして、それからほほえんだ。
「神はあなたの心に・・・」
「心って何ですか。心臓、それとも脳ですか。」
彼女は困った顔をして、「あなたは理科系?」と尋ねた。
僕は(ああ、やっちまった)と反省する。
「はい、理工学部です。なんかすみません。嫌味な言い方でした。」
「いえ、こちらこそ。科学を学ぶ人に一般論ではだめよね」
「科学的でないことは学んでない人にもやめて欲しいんですが」(ああ、相手が折れたので調子に乗ってしまった。また余計なことを言った。)
「何なの、あんた!」
突然甲高い声が。彼女の隣りにいた女性が強い口調で。
ちょっとぽっちゃり、大きな目、色白、ショートカットが似合っている。
「理科系か何か知らないけど、余計なお世話、何様!」
強く非難されたのでしばらくフリーズしてしまった。
とりあえず謝る。「えっと。ごめんなさい。悪気があるわけじゃないんです」
「ごめんで済んだら警察はいらないわね」にやっと笑い、ぽっちゃり・色白の追撃。
見かねたのかポニーテールの彼女が「気にしないで。無罪放免」
くすくす笑う。