あらすじ
謎の感染症が東京を中心に日本国内全体へ広がり始めて、早1年。
東京都は国からの政令で完全に閉鎖され、都内は感染症に感染した人で溢れ返っていた。
ーー不治の病と言われたその感染症の名前は〝冥病〟。
人語を喋れなくなり、凶暴化し、自らの欲求を満たす為に人を喰らい、自我を失う様になる症状はまさにゾンビと喩えるに相応しい。
運良く感染から逃れ、大型の町型シェルターである〝夜々町〟に逃れた『調月 幽(つかつき ゆう)』もまた、思いがけずその感染者となってしまった。
日々止まらない禁断症状。本能のままに肉を貪り、身体を蝕む熱を発散する獣の様な生活……。
ーーかと思いきや、幽には特別な症状が現れていた。
感染しても尚人語が喋れる上に、食欲旺盛だが人の肉を食べない。
異様に血色が悪く、肌が白い事以外は他の人間と遜色がない、突然変異と呼ばれる存在。最も人間に近いゾンビ。
そんな幽に抗体目的で近付こうとする者。
幽を守ろうとする者。
たった一人のゾンビを巡り、歪んだ愛が町を混乱へと陥れようとしていたーー。