あらすじ
「なあ、聞いたか?」
「うん? 何が?」
「先輩だよ、先輩。夜中に階段で転んで、頭打って昏睡状態なんだってさ」
「マジかよ……。いつの話だ? そういえば、最近見かけなかったな」
「いつだっけなあ……忘れた。日にちの感覚ねえし。はははは!」
「なんだよ……。まあ、うちの会社、泊まり込み多いもんなあ。ブラック企業なんじゃないか? ははは……はあ」
ため息をつく男。仕事が嫌いで、できることなら楽に生きていきたいと、いつも考えている。好きなものといえば、酒にゲーム、女、食べることと寝ること――ごくありふれた娯楽ばかり。特別な才能もなければ、これといった情熱もアイデアもない。それでも焦ることはなく、ただ惰性で日々を過ごしていた。
しかし、そんなある夜、男は夢の中で奇妙な老人に出会った。