あらすじ

「婚約破棄だ。すまない、君とはもう結婚できない」 そう言われた日の夜、私は黙って包丁を研ぎ続けていた。 恋に恋した乙女心は、あっけなく砕け散った。 涙の代わりに、包丁をギリギリと磨き上げながら―― 私は、あの男との思い出をひとつひとつ、削り落としていく。 「あんなの、よくよく考えたらロクな男じゃなかったわ」 浮気? 自己中? 母親の言いなり? ……論外だわね。 思い出すたびに、包丁をまな板にドンッと叩きつける。 鋼の音が心の迷いを打ち消していく。 この気持ちは、料理に込めて昇華させてやる。 未練も、後悔も、あの男の顔も、ぜんぶ切り刻んでやる。 そうして私は今日も、静かに包丁を研ぐのだった―― これは、包丁と私と、ちょっぴり不器用な再出発の物語。

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小説を読もう2025/08/07
  • 現在の作品婚約破棄された私は、今日も一人で包丁を研ぐ