あらすじ
私のポケットにはいつも、赤い口紅がある。高校生の時からずっと使っている、同じメーカーの同じ色の口紅。
高校生の時は上手く塗れなかったけど、今ではもう一人で綺麗に塗れるようになったよ。
ねぇ、こんな私を親友と呼んでくれた貴女。あの日私の元から去ってしまった貴女。貴女は『幸せになって』って言ったから、私は頑張ったよ。幸せになろうと頑張ったよ。でもね、心は空っぽだよ。
だからポケットにいつも口紅を入れるの。貴女が使ってたのと同じ口紅を。ポケットまで空っぽだと、私の舐める飴の味はまた塩辛くなっちゃうから。
ねぇ、この世でたった一人の私の親友。もう私の事なんて憶えてないかもしれないけれど、ずっと言いたかったことがあるの。
貴女のこと、私はずっと、
「——……なんて、言えるわけないね」
口紅をポケットにしまって、私はパウダールームを去った。嗚呼ほらまた、飴玉の味は涙で塩辛い。
🖤🐰🎀
表紙作成→https://sscard.monokakitools.net/covermaker.html