あらすじ
かの有名なヤマタノオロチ伝説。
鳥髪と言う土地に住む老夫婦の娘たちは、順番にヤマタノオロチという化け物に捧げられた。8番目の娘の名前はクシナダ。ついに彼女の順番がきてしまうと川のほとりでむせび泣く二人のもとに現れたのはアマテラスオオミカミの弟、スサノオノミコトだった。
二人の話を聞いたスサノオは「娘を俺にくれたらヤマタノオロチを倒してやる」と老夫婦に提案する。殺されてしまうよりはマシだと、老夫婦はその提案を受け入れた。そして、スサノオの言う通りに罠の準備を進めていった。
スサノオノミコトはクシナダ姫を櫛に変えて自分の髪にさし、ヤマタノオロチを今か今かと待ち続ける。スサノオノミコトが待っていたのは、ヤマタノオロチが老夫婦の用意した酒に酔い寝てしまう瞬間だった。
その後、スサノオノミコトはヤマタノオロチと勇敢に戦い、無事に化け物を倒した後、約束通りクシナダ姫を嫁にもらって幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし——?
……本当に、めでたしなのだろうか。
上の話からは、クシナダ姫の意思が全く読み取れない。隠れていた方が安全なのに、何故、わざわざクシナダ姫を櫛にして連れていく必要があったのだろうか。クシナダ姫は本当に、助かりたかったのだろうか。
これは、彼女のしあわせを願った”彼”と、”彼”のしあわせを願った彼女の物語。