あらすじ
選べないなら選ばなきゃいい。
始まりはシロの一言だった。
俺、奈帆ちゃん、シロ。俺達三人はたくさんの時間を共有してきた。
そんな中で俺とシロが奈帆ちゃんを好きになるのは至極当然の事だった。
奈帆ちゃんも俺達と同じく友達以上の感情を抱いていた。
ただ問題だったのは、奈帆ちゃんは一人しかいないし奈帆ちゃん自身も俺とシロどちらかを選べなかった事。
それを俺もシロもわかっていた。もちろん奈帆ちゃんも。
お互いがお互いの気持ちをわかった上で知らない顔をして過ごすのはほろ苦くて、もどかしかった。
けどこの関係が崩れるくらいなら気持ちに蓋をして過ごした方がマシだと言い聞かせていた。俺は。
「俺、奈帆が好きだ」
いつものカラオケ屋の個室でシロが奈帆ちゃんに告った。俺の目の前で。
ショックだった。シロは俺の事よりも自分の気持ちを優先したんだって思ったら悲しかったよ。
告られた奈帆ちゃんは困っていた。困り果てた顔をしていた。俺の方をチラッと見ながら気まずそうに首を摩る。
「私もシロが好き。けど水も好きなの」
奈帆ちゃんの答えに嬉しさ半分怖さ半分だった。
ここで僕らは終わるのかもしれない。
けど、シロの提案に俺たちの関係はより深くなる。
恐ろしいほどズブズブになっていく。
「選べないなら選ばなきゃいい。俺と水どちらとも付き合えばいいじゃん」
それがどれほどまでに卑猥で節操のない事なのか理解していた。
理解した上でこれが最善策だと思った。
何よりも俺が一番恐れている事が回避できるなら、シロの案を喜んで受容れる事が正解なんだ。
シロに抱かれている奈帆ちゃんにキスをしながらよくよくそう再認識した。