あらすじ
二〇二一年東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となった新国立競技場。
明治神宮野球場。
明治神宮バッティングドーム。
秩父宮ラグビー場。
明治神宮外苑アイススケート場。
神宮外苑フットサルクラブ。
明治神宮外苑テニスクラブ。
明治神宮外苑ゴルフ練習場。
これらはすべて東京都新宿区霞ヶ丘町の敷地内にあるか、でなければ隣接している施設だ。
新宿区霞ヶ丘町は、大げさではなく、日本のスポーツ文化の重心といっても過言ではない街
だった。
時代の節目を感じさせる二〇三〇年、この競技場のメッカにまた新たな施設が誕生すること
になる。
巨大な升を思わせる、真四角にして垂直にそそり立つ城壁。
その施設を人は、明治神宮人間将棋スタジアムと呼ぶ。
プレーヤーがログインするのは仮想世界ではなく、現実世界に存在するプロジェクション・アバター(リンクしている人間の表情がダイナミック・プロジェクションマッピングによってリアルタイムで投射されるゴム製ロボット)です。現実世界のアバターにログインしたプレーヤーは、グラディウスやクレイモアといった歴史上の武器と防具(甲冑・兜)を着用し「王将が先に殺された側が負け」というルールのチームeスポーツ人間将棋(人間チェス)に臨みます。
戦いの舞台はコロッセオを髣髴とさせる闘技場です。コロッセオが円形闘技場であるのに対し、人間将棋の闘技場は正方形の城壁に近い建造物になっています。人間将棋の闘技場が城壁型なのは、真昼にダイナミックプロジェクション・マッピングを成立させるためには垂直にして高い壁が必要であるためです。