あらすじ
ぴん、と澄んだ高音が響いた。
十三本の箏(こと)の糸。
彼女が調律の仕上げに爪で弾くと、テトロン製の糸が気持ちよく鳴った。
「糸締め、終わりました」
彼女が凛とした声で告げた。
初心者とは思えない、高尚な空気をまとって。
8人の先輩たちは誰もが「あり得ない」と呆然としていた。
高校生になったこの春、憧れの箏曲(そうきょく)部に入った。
最高の親友になれると思っていた唯一の同期は、雲の上の存在だった。
※妄コン「のびる」応募作品です。
※表紙はphotoACよりRipta様「箏」をいただきました。