あらすじ
「びっくりしたとき頭の中が真っ白とか目の前が真っ暗とか言うだろ。多分それ」
「最悪じゃん」
僕の話を一通り聞いたのち、綾瀬はそう返した。
彼女の言葉の響きに僕は微妙な違和感を抱いてしまう。手元に置いたプリントに指で軽く触れながら訂正した。
「そこまでじゃないよ。悪いのは結果だけ」
「原因は?」
「最高だった」
彼女は呆れたように笑いながら、どこかまんざらでもなさそうな表情を浮かべた。きれいな曲線を描く唇がつやめく。
まだ信じられないもんな、と思いながら彼女の黒い前髪をぼんやり見つめていると綾瀬は不思議そうにこちらを見た。真ん丸な瞳は少し灰色がかっている。
「私の告白にびっくりして、ぜんぶ白黒にしか見えなくなっちゃったってなにそれ」