あらすじ
「思い入れの深い物には魂が宿る」
それを信じている高校一年生の田所 直美(たどころ なおみ)には。思い入れがある物に触れて記憶を見せて欲しいと念じると、「持ち主との思い出が脳内に映像として流れる」という特殊能力を保持している。
その力を使用し落とし物を持ち主に返すことをしているがそれは善意の感情だけでなく、「物を届けなければならない」という執着心からだった。
そんな夏休み。身に覚えがない手作りお守りがあり、その記憶を視ると。それは中学生の頃の自分が、泣きながら作った物だった。
そんな記憶はない直美は混乱するが、以前より記憶の端々が抜け落ちている現実に気付いていて。「誰かに何かを届けないといけない」、「どこかに行かなければならない」と思う強い感情に支配されている自身に気付く。
また別の記憶を視ると、自分が失くした物を探してくれる優しい男の子の映像が視えるが、直美はそれが誰かを覚えていなかった。
記憶にない男の子。
泣きながら作ったお守り。
消えたスマホの写真に、メッセージの履歴。
誰かに何かを届けないといけない、と思う強い感情。
一夏の記憶を巡る物語。