あらすじ
「私はこの子を玉座に据えなければならない。
この混沌とした世を、この子が生き抜けるように——」
政敵を葬り、王妃として絶対的な権力を築き上げたルチェルタにとって、息子ルシアンの未来こそが生きる意味だった。
だが、その血にまみれた愛は、彼女自身の積み重ねた罪によって、やがて灰と化す。
死の間際、彼女は激情のままに天を仰ぎ、誓った。
「ああ、神よ。あなたを——あの子の鎮魂のために、今から殺しに行きます」
それは祈りか、呪いか。
その叫びは天に届き、時は巻き戻る。
だが、目覚めた彼女に与えられたのは「悪女」ではなく、「聖女」としての運命だった。
彼女が向き合うのは、かつて踏みにじった者たちの嘆き。
貧者の祈り、異教徒の苦難、虐げられた者たちの声——
悪女は今、聖女として立つ。
愛する者を、今度こそ正しく守るために。
そして、自らの罪を、その身をもって贖うために。
これは、ひとりの女が運命に抗い、魂の再生を賭けて歩む物語である。