あらすじ

これはナーロッパ世界のしばらく後の、魔導文明の弊害で工業化の遅れた19世紀初頭相当の世界に送り込まれた技術者のお話。 金属加工の能力を授かったものの、ファンタジー度が妙に低い。不思議な金属もなければ、便利な道具が魔法で自動的に創造されるわけでもない。 自分で設計してドラフターで手描き図面を引いてインチネジの製造から自分でやらなければいけない。そんな世界での開発と製作、そして冒険と打ち上げのお話。 ◆ 水という物質は赤外線から紫外線あたりまでの波長の電磁波に対して特に高い抵抗値を示すが、青色の波長に対しては何故か極端に抵抗が低くなる。海が青く見える理由はこれだ。 似たような理屈で、土属性物質は約1.5ギガ地球ヘルツの魔力波に対しては極端に低いインピーダンスとなり、水属性物質はまた別のピーク特性を持つのだとしたら、それは土中を透過してきた空間魔力に対する強力なフィルタとして働いたとしてもおかしくない。 ◆ 鍋の水がお湯と言える温度になった頃に変化が現れ始めた。 「まさか花が開いてきているのですか!」 「ええ、おそらく全開になるはずです」 結構な湯温に達した頃にようやくブローチの花弁が開き始める。 そして開ききった薔薇の中には真鍮に似た色の輝きを放つ宝石が見えた。 真鍮などの銅合金は形状記憶効果を持つことがある。だが現代地球で一般的だった形状記憶合金であるニッケルチタン合金に比べ、その効果は非常に不安定なのだ。 ◆ 電子レンジは水分だけを温めるなどと説明されることがあるが、これも半分ウソだ。原理的な観点で言えば極性分子であれば温められるはずなので、アンモニアや塩化水素の分子にも同様に作用するはずだ。 あくまでもこの電磁波は水を温めることができる波長だというだけだ。水以外の物質には作用しないというわけではなく、水が最も効率よく温まる物質であるというわけでもない。 例えば油脂の類であれば水よりも容易に温まる。 水分が少なく油分が多いナッツ類やスナック類をチンすると、気化熱が奪われないだけあってあっという間にアチアチになってしまう。

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小説を読もう2021/02/28
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