あらすじ
「人生、売れたらいいのに」──そんな独り言を呟いた翌日、葵のスマホに届いたのは《ユグドラシル・オークション》への招待。そこでは「記憶」「感情」「寿命」など、人生の一部を出品し、代わりに「幸運」や「好感度」などを手に入れることができた。
最初は軽い気持ちだった。過去の痛みや孤独を売り、名声や恋人を手に入れた葵。しかしある時、自分の中から“何か”が消えていることに気づく。喜びも、後悔も、怖れも、もう感じられない。
やがて届いたのは、自身の「存在価値」が落札されたという通知。全てを失った葵は、感情も名前もない“誰か”として再起動する。
それでもアプリだけは、変わらずそこにあった──
《ようこそ、ユグドラシル・オークションへ》