あらすじ
人が消える──記録から、記憶から、世界そのものから。
名を失った瞬間、人間は存在の輪郭を失い、この世から“喰われる”。
妹を喪った少年・東雲は、連続失踪事件の真相を追う中で、美咲という謎めいた女性と出会う。
彼女はかつて、自身の名前を奪われかけた“生還者”だった。
記憶の隙間にうごめくのは、獣のような影と、人ならざる少女の声──。
美咲と東雲が辿り着いたのは、封鎖された古い植物園。
そこには、「名を喰らう者」──狼憑きの末裔・沙月が棲んでいた。
彼女は、儀式のように名を剥ぎ取り、記憶ごと人間を“殺して”いた。
その動機は、生存のためか、報復のためか。それとも、ただの愛か。
過去を暴くほどに、名前と記憶をめぐる連続殺人の全貌が浮かび上がる。
そして今、美咲の“名”が再び狙われている。
喰うか、喰われるか──。
忘却の夜を、生きて越えられる者は、ひとりしかいない。