あらすじ
誰よりも水に愛されたかった。
競泳選手の水希(みずき)が、練習後の静まり返ったプールで見つけたのは、完璧な鏡と化した水面だった。
吸い寄せられるように覗き込んだその瞬間――世界は、青く、静かな“向こう側”へと反転する。
自分の姿が水面から消え、声は誰にも届かない。
そこは、あらゆる水鏡が繋がり、無数の景色を映し出す、孤独で美しい異世界だった。
初めは戸惑う水希だったが、やがて彼女は、この世界から現実へ干渉する“ある力”に目覚める。それは、誰にも知られず、誰かを救うことができる、神様のような力。秘密の力に高揚感を覚える彼女は、その代償の大きさをまだ知らなかった。
水鏡の向こうで、何かが静かに、彼女を“観測”していることに気づかずに――。
日常と非日常の境界が曖昧になったとき、少女は自分が犯した罪の本当の意味を知る。
これは、世界と繋がる力を手に入れた少女が、やがて自分自身の存在を賭けることになる、切なくも恐ろしい物語。