あらすじ
榎真琴は、将来やりたいこともまだ定まっていない、高校二年生。
部活には入らず、家の為にと、勉強だけはそれなりに頑張っているような子だった。
高校二年、一学期のある日のこと。
ひょんなことから、時間を潰すために散歩していた校内で、使用禁止となっている筈のある教室が開いていることに気が付く。
封鎖されていることに対し、幽霊だの事故だのという噂話を聞いたことはあったが、そんなことを信じてない真琴は、その教室の中で時間を潰すことに決める。
やることもなく、気が付けば眠っていて目を覚ましたところ、閑散とした教室の中にポツリと置かれていた一冊のノートを見つける。
表紙には『交換日記』とだけ小さく書かれていた。
何だこれは――表紙を捲った1ページ目に、
『お友達になってくれませんか?』
短く、それだけが書かれていた。
真新しいノートに、友達を欲する旨の文言。
まさか本当に幽霊か何かの仕業じゃないだろうなと、次の日、また次の日も、気になって教室へと通う。
いつ行ってもその場にあるノートに真琴は、
『幽霊?』
本当に気まぐれな気持ちから、そう書いた。
馬鹿馬鹿しい。
そう思って帰った後日、こんなこともこれで最後にしようと見に行ったそのノートの中には、これを拵えたであろう者と同じ筆跡で返信が書かれていて――
どうして、その空き教室だったのか。
どうして、素性の知れないその者は、友達を欲するのか。
どうして、交換日記なのか。
そもそも、その交換日記を置いた者は、一体誰なのか。
それらの謎を追っていく内、真琴は自身の過去とも向き合うこととなって……。
これは、たったのひと夏の、儚い思い出を抱き締める高校生のお話。