あらすじ

扉を開くと、からん、と鈴が鳴った。 「いらっしゃいませ」  カウンターの向こう側でマスターが声をかけてきた。  何名様ですか、とは聞かれない。 「こちらの席へどうぞ」  カウンターの上にはメニューもない。話に聞いた通りだった。 「……プロポーズを、断られてしまって」  僕は何もないカウンターの天板を見つめながらそう言った。 「かしこまりました」  少しの間があってから、マスターはそれだけ告げた。  この店には看板もない。  けれどどこからか噂を聞きつけた人が定期的にやって来るという。僕もその一人だ。  訪れた客の失恋に合わせた珈琲を淹れてくれる店がある、と。

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エブリスタ
エブリスタ2025/03/08
  • 現在の作品失恋ブレンディング