あらすじ
「背が高くて醜い」
その言葉は、伯爵令嬢・綾小路吉乃のすべてを奪った。
縁談相手に吐き捨てられた言葉は瞬く間に社交界に広がり、令嬢としての未来を閉ざしてしまう。
誰にも望まれない存在となった吉乃に持ち上がったのは、豪商・伊丹家との縁談だった。
伊丹家の長男・栄太郎は、誰にも心を開かず、結婚式ですら冷ややかに接する男だった。
だが、彼もまた、継母の手で愛情を知らずに育ち、孤独の中で立ち上がってきた傷ついた魂の持ち主だった。
冷え切った別宅、よそよそしい使用人たち、無言の夜。
けれど吉乃は、栄太郎の奥にある「誰かを信じたい」という声なき痛みに気づいていく。
これは、“醜い”と言われた令嬢と、愛を知らぬ御曹司が、
少しずつ心を通わせ、共に新しい時代を切り拓いていく物語。