あらすじ
主人公の美波は中学2年の夏から自分の体臭が一般的なものと違うことに気づき、それが「ワキガ」と呼ばれる体臭であることを知る。母からは遺伝だと言われ、祖母も同じ体質だったが、周囲の視線や差別に悩み、徐々に人との距離を取るようになる。高校1年生になったある日、放課後の図書室で見知らぬ男子・葉山征司に「君の匂いが好きだ」と告げられ、衝撃を受ける。葉山は匂いに敏感な「嗅覚過敏」であり、美波の匂いを特別なものとして感じていたのだ。
葉山の真摯な言葉に触れ、美波は自分の匂いを恥じる気持ちが少しずつ和らいでいく。二人は放課後に会い、匂いの言語化や視覚化を試みるなど、匂いをテーマにした芸術活動を始める。葉山は「ワキガ革命」と名付けた文化祭での匂いの展覧会を提案し、偏見や差別を変える小さな革命を目指す。最初はクラスメイトからの冷たい視線や誹謗中傷に苦しむが、二人は諦めず準備を進める。
夏休みの間、葉山の祖父の遺した蒸留器を使って美波の匂いを抽出し、ボトルに閉じ込めることに成功。匂いが物質として存在することに美波は驚きと感動を覚える。文化祭当日、悪天候にもかかわらず、匂いに敏感な人々や同じ悩みを持つ生徒たちが展示を訪れ、匂いを芸術として受け入れる新たな視点が広がる。母も来場し、美波の祖母と同じ匂いを感じ取り、家族の歴史と繋がる感動の瞬間を迎える。
文化祭後、「ワキガ革命」は学校中で話題となり、美波は自分の匂いを隠さず、恥じることもなく堂々と生きるようになる。葉山との関係も深まり、彼の匂いフェチという個性も受け入れられていく。二人は「匂いの囚人」と呼ばれる偏見に苦しむ人々を解放するため、匂いの哲学を探求し続ける決意を固める。雨上がりの街を見渡す屋上で、未来に希望を抱きながら手を取り合い、新たな「ワキガ革命」の旅路へと歩み出すのだった。