あらすじ
町役場に勤める青年・景司は、表向きは誠実で「善人」と呼ばれる存在だった。だがその胸の奥には、誰にも言えぬ数々の過ちが沈んでいた——交通違反、免許証不携帯、速度超過、一方通行逆走。いずれも事故も発覚もなく、記録上はゴールド免許。けれど景司は、それらを「帳面」に記し、密かに己を責め続けていた。そんな彼の過去には、ある老女の死にまつわる重大な罪があった。ある日、同僚の澪子との交流をきっかけに、景司は「償いとは何か」を問い始める。そして偶然の再会や他者の言葉を経て、彼は過去と真正面から向き合い、赦されることよりも、赦せる自分になることの大切さに気づいてゆく。善人とはなにか、罪とどう生きるかを描いた。