あらすじ
かつて人類は、旧時代の戦闘兵器《レプリファング》によって、文明も大地も奪われた。
森は焼かれ、街は崩れ、人々は逃げ惑い、崖の縁へと追いつめられていく。
そんな極限の中、誰かが断崖の岩肌にツルハシを振るった。
それを見た者が後に続き、また一人、また一人と岩を削り、横穴を掘る。
そうして幾層にも渡って広がった避難区画は、やがて一つの国家へと姿を変えた。
それが、人類最後の砦のひとつ――断崖絶壁に造られた都市国家《ヴァンティア》。
しかし、彼らはただ潜んでいたわけではない。
ヴァンティアの民は、危険な大地にレプリファングの接近を感知出来る《ゾーニングポール》を立て、わずかずつ安全圏を広げていった。
そして遺跡を発掘し、断崖の奥深くから多様な鉱石を掘り出し、武具を鍛え、独自の文明を築き上げていく。
それでもなお、レプリファング討伐には常に多くの犠牲がつきまとった。
希望の剣は、鋼の咆哮に折られ続けた。
そして現在、ヴァンティアに史上最大の危機が――今だ討伐記録のない怪物、《大型レプリファング》の襲撃。
その戦場には、風を操る少年――レン・フォードの姿があった。
禁断の《エオリアの血》を宿す彼の力が、崩れゆく均衡を揺さぶってゆく。
精鋭部隊《CROW-9》の命を賭した戦いと、王女アリアの決意。
全ては、滅びか希望か、その一線を越えるために──。
断崖の都で始まる、希望と絶望の物語。 レンの風は、この未曾有の脅威を打ち砕く光となるのか、それとも滅びを招く嵐か。