あらすじ
江戸中期、藩主の姫・若菜は、御前稽古に招かれた女武芸者・鷹野しのぶに心を奪われる。
男のように剣を振るい、無骨ながらも静かな情を秘めたしのぶと、身分の違いを越えて惹かれ合っていく若菜。
夜ごと交わされる指先、襟足、吐息――ふたりの想いは誰にも止められないものになってゆく。
だが姫には輿入れが迫り、別れの日が近づいていた。
選ぶのは、義か、恋か。
御殿を抜け、ふたりは禁じられた“花いくさ”へと踏み出す――。
🌸登場人物紹介
◆ 若菜(わかな)
藩主の娘。十八歳。
教養と気品を備えた姫君だが、従順なだけの生を疑い始めている。
武芸者・しのぶとの出会いが、彼女の運命と心を大きく揺らしていく。
◆ 鷹野 しのぶ(たかの・しのぶ)
女武芸者。二十六歳。
無口で実直、剣の腕は一流。
かつては男装して仕官を目指したが、今は身を引き御前稽古の師範役として若菜の前に現れる。
若菜への想いに戸惑いながらも、全身で彼女を守ろうとする。
◆ 千登勢(ちとせ)
若菜付きの年長の女中頭。
若菜の幼い頃からの育て役であり、姫の秘密にも早くから気づいている。
すべてを承知で、最後にはふたりの逃避行を陰から支える存在。
◆ 見張りの男たち/追手
藩命に忠実な男たち。若菜の逃亡を阻止するために動くが、しのぶの剣に翻弄される。