あらすじ
死ぬ前に、最初で最後の帰省。8年ぶりの故郷。あの頃、僕はまだ15だったーー
近々、隣国との大きな戦争が始まるらしい。
そう聞かされたのは2ヶ月前だった。するする詐欺なんて日常茶飯事で、僕は大して気にしちゃいなかった。
水桶に落とした手拭いに、あっという間に水が浸るように、戦争が始まることはすんなりと確定して、日々着々と準備が進んでいった。
――ずっと、一日を摘むように、日々を淡々と過ごしてきていた。
死ぬことが決まって、頭に浮かんだのは、実家への仕送りは今後どうしようか、ということだけだった。本当かどうかわからないけど、国から保障が出るらしい。
開戦の一週間前になって、上からお達しが出た。早い話が死ぬ前に贅を尽くしてこい、ということだった。特にやりたいこともなかったので、幼馴染みのフィレイと帰省することにした。そんな殊勝な柄でもないのだけど、せっかくだし自分の人生を振り返ってみるのも
いいのかもしれない。
そんな気軽な思いつきだった。本当に、他にやりたいことも、やるべきことも、思い浮かばなかったのだ。
これは、どこにでもいる、なんてことない凡庸な僕の、最期の三日間の物語。