あらすじ
下位貴族の令嬢は、貴族学園に入学して結婚相手を探すのが一般的である。ステラ・キラータイム男爵令嬢の、年の離れた姉たちも貴族学園で相手を見つけて結婚した。だがステラは控えめに言っても結婚には向かない人物で、両親も「ステラの夫になる人が哀れだ」と、早くからステラを職業婦人として自立させることに決めていた。ステラ自身も夢があり、それを叶えるために職業訓練学校合格を目指して、猛勉強した末、首席合格を獲得。だが頭の固い祖父の策略で、せっかく合格した職業訓練学校は入学辞退、無試験の貴族学園に入る羽目に。だが半年後には転校できる制度があるため、ステラは職業訓練学校へ編入するべく猛勉強していた。自習に励む図書館で、さえない中年に擬態した元王太子ミゲールと出会ったのは鬱陶しかったが、それもあともう少しの辛抱と、鉛筆をへし折りながら我慢する。
転校を目前に控えたある日、士官学校に通う兄のハーバーから、とんでもない依頼をされる。ハーバーの士官学校での友人の弟が、隠れて不死鳥の雛を羽化させたというのだ。神獣の卵、もしくは雛は見つけ次第王国軍に報告し、回収してもらう義務がある。怠れば貴族社会からの追放もあり得る。そこでステラに、密かに雛を回収して王国軍に引き取ってもらいたいと、ハーバーは頼み込んだのだ。
貴族学園の寮は男女別はもちろんだが、貴族階級によって厳密に分けられ、下位貴族のステラが、上位貴族の男子寮に入るのは無理がある。そこで図書館長ミゲールの協力を得て、上位貴族男子寮に忍び込んだ矢先、不死鳥の親鳥が駆けつけて無理矢理人間によって羽化させられ瀕死の雛に激怒、王国軍も駆けつけたが、怒り狂う不死鳥に太刀打ち出来ない。ステラは独自のルートで得た魔石で雛を回復させて、穏便に不死鳥にお帰りいただいたが、その出来事は直ちに魔術の師匠である、王国魔術師長マルガリータに伝わった。マルガリータ魔術師長は、ステラの職業訓練学校への転校を取り消し、王国魔術師団へ入団することを命じる。
ステラは職業訓練学校で青春を謳歌し、卒業後は冒険者として世界を旅するのを目的としていた。王国魔術師団入団は名誉であるが、過酷な仕事と、何より口うるさい師匠のマルガリータ魔術師長配下になるのが嫌だったのだ。
だが配属先の王国魔術師団研究開発部は想像より楽しい職場で、ステラは仕事に恋愛にと充実した日々を送っていた。邪魔者の元王太子ミゲールが王国魔術師団まで追いかけてきたのが邪魔だったのと、世情もきな臭くなって、ステラは否が応にも巻き込まれていく。日増しに人相が悪くなるステラは、だがそれら障害を豪快に蹴散らしていく。皮肉にもステラの活躍は、子供の頃に描いた、自由を謳歌する未来予想図とは全く違う人生を突き進む羽目となる。