あらすじ

海沿いの小さな港町で暮らす青年は8年前に妹を海難事故で亡くして以来、日々の仕事の合間に妹の墓を訪れ続ける。その道すがら、彼の目にいつも留まるのは、「古書堂 月灯館」と刻まれた木製の看板を掲げる不思議な建物だった。 二階建ての木箱のようなその古書堂は、昼間には扉が開いていることもなければ、人の気配すらない。にもかかわらず、建物は不思議と荒れておらず、どこか静謐な存在感を放っている。町の誰に聞いても、その存在を知る者はなく、ただ何十年もその場に存在し続けていた。 ある満月の夜、青年は引き寄せられるようにその古書堂に向かう。やがて鍵もないはずの扉が音もなく開き、彼は幻想的な書物の迷宮へと足を踏み入れることになる。 月灯館――それは、過去を悔い、やり直しを強く願う者だけに開かれる、不思議な館。そこはあらゆる人の記憶が本として記録される場であった。 青年が迷宮のような館の奥へ進むにつれて、沈んでいた過去の記憶が揺らぎ始める。そして、妹の死にまつわる真実へと導かれていく。 満月の光が差し込む夜、月灯館はまたひとつ、過去と現在を結ぶ――。

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小説を読もう2025/08/06
  • 現在の作品満月が照らす記憶の道