あらすじ

久しぶりにドキュメンタリーを撮ることになった。僕には才能がない。だから、人に目を止めてもらえる作品は作れないんだろうなと思っていた。実際、過行く人はいくらでもいたけれど、僕の作品はそれほど注目されていない。ためになるような、生きていて糧になるような、そういう教本めいた言葉や、技術を、僕は提示できていないからだろう。ほかの誰かの心を慰められるような、優しさや思いやりを形にできていないのかもしれない。(あるいは、そんなものは僕には備わっていないかもしれない)それでも、僕はカメラを構えるのだ。明日を生きるために。僕にはこれしかないと知りながら、これすらも満足にはできない。それでも、ふいに訪れる心を慰められる瞬間を、僕はカメラに見るのだ。

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カクヨム
カクヨム2025/08/01