あらすじ
独自設定有りのオメガバース作品。
上位アルファという希少な第二性の香坂至(こうさかいたる)は『香坂製薬』の跡取り。しかし亡き母や弟の譲との思い出のある竹細工を愛し、職人を志して父と大喧嘩ののち生家を出奔、眞下(まさか)伝統工芸士に弟子入りする。
二年後独り立ちした至だが資金に困窮し、屈辱の中、父に援助を頼む。至に反対していたはずの父は、資金援助に加え鎌倉の別荘と使用人を貸してくれた。使用人は、長谷合紬(はせあいつむぐ)というオメガの男性だ。
紬のヒートのとき、父による母の虐待を見たトラウマから、生殖に抵抗があることに至は気付く。
オメガは生まれつき芸術に向いている。このため至は紬の助言を得ながら、少しずつ職人として成長する。父が至を挫折させるため、無理難題な竹細工の作成を要求してきたが、眞下や紬に助けられつつ地道な努力を積み重ねた至は、父の依頼を達成する。その喜びを分かち合った紬へ至は愛情を抱き、トラウマを紬に打ち明け、ついに彼と身体を重ねた。紬が言う。「自分たちは運命の番だ」と。至もそうと信じた。
しかし、至の本能が運命の番であると告げる別のオメガ男性・椿綾人(つばきあやと)が現れた。紬は実は、父の手先──薬で遺伝子を改変された、人工のオメガ、人工の運命の番だったのだ。運命の番の間にしか生まれない上位アルファを至と紬の間に設けさせるため、父は援助をしてくれたのだと至は気付く。そして紬の嘘と裏切りにも。