あらすじ
Fランク探索者の相良湊(さがら みなと)は、所属するパーティーで「荷物持ち」以下の役立たずとして扱われ、蔑まれる日々を送っていた。
「お前、今日でクビな。マジで使えねぇんだよ」
ある日、リーダーから無慈悲な追放宣告を受け、すべてを失う。
だが、湊には誰にも言えない秘密の能力があった。それは、ごく稀にダンジョンの『声』が聞こえること。これまで役に立たない雑音でしかなかったその力が、絶望の淵で覚醒する。
やけになってソロで潜ったダンジョンで、モンスターに追い詰められ死を覚悟した瞬間――湊の耳元で、澄み切った甘い声が囁いた。
『……聞こえますか……? 私の、声……』
声の主は、ダンジョンの核(コア)が人の形をとった精霊・シフォン。彼女は湊を唯一無二の『パートナー』として選び、ダンジョンの全てを教えるナビゲーターとなったのだ。
「右へ三歩。そこに隠し通路が……ふふ、驚きましたか?」
「その敵は、首筋の鱗が弱点です。……頑張って……くださいね?」
吐息さえ感じられるほどの至近距離で送られる、甘やかで的確な神託(アドバイス)。
それは、湊と彼女だけの秘密のコミュニケーション。