あらすじ
世界的スター選手の誕生から半世紀。女子サッカーは男子サッカーと同等の人気を得ていた。
幼少期から「東京都で知らぬ者なし」と名を馳せた戸越茜。
高校ではエースナンバー10を背負い、蒼栄女子サッカー部の象徴として注目を集めていた。
だが、その輝きのそばに──もう一つの「才能」があった。
これは、彼女の弟の物語である。
戸越悠馬は、ひょんなことから姉の所属する女子サッカー部に学生コーチとして加わることになる。
経験不足、信頼ゼロ、選手との距離感も掴めないまま、最下層・Cチームの指導を任された悠馬。
──だが、彼にはひとつだけ確かな「武器」があった。
それは、何千時間ものゲームプレイで鍛え上げた分析眼。
選手の動き、戦術の綻び、ピッチに潜む勝利の糸口。
誰よりもプロの試合を観察し、数えきれないほどのサッカーゲームで頂点を極めてきた。
その眼と頭脳が、チームを動かす力となる。
そして、落ちこぼれと呼ばれたCチームで出会ったのが一人の選手──
巣鴨千紘。
中学時代の挫折から、夢を諦めかけていた少女。
身長は低く、他を圧倒するフィジカルも、華やかなテクニックもない。
それでも彼女は、確かな力を持っていた。
千紘と向き合いながら、悠馬は少しずつチームの皆の信頼を得ていく。
目指すは、Aチーム昇格。そして全国の頂点。
これは、未熟だが才気あふれる学生コーチが挫折を知る少女と、
ともに歩み、支え合いながら成長していく青春サッカードラマ。