あらすじ
気がつくと、そこは見覚えのない世界だった。草原に寝転ぶように倒れていた主人公は、違和感を覚えて自らの体に目を向ける。そこにあったのは、小さく柔らかな黒い毛並み―――自分が猫の姿になっていることに気づくのに、時間はかからなかった。
彼の目の前には、現実ではあり得ない存在。半透明の生物や、長い耳を持つ獣たち。どうやら猫となった彼は異なる世界に迷い込んでしまったようだ。
大きな目的も、誰かに託された使命もない。ただ一匹の猫としてこの世界に放たれた元日本人の主人公は、ただ静かで、ちょっぴり優雅な暮らしを望んだ。
しかし、彼はただの猫ではなかった。転生とともに与えられた不思議な力が、否応なく彼を運命の流れへと引き込んでいく。
異世界の理、不条理な運命、迫りくる危機―――それらを前に、猫でありながらも彼は、誰かの希望となる道を歩み始める。やがて、幾多の出会いと騒動の中で、少しずつこの世界の命運へと関わっていくことになる―――。
これは、一匹の猫が紡ぐ異世界の物語。小さな体に秘めた力と心で、確かに世界に爪痕を残していく、ある猫の物語である。