あらすじ
畠山華恋……24歳。
毒親の元に産まれてしまった彼女は、若い人生の大半を家族のためにという言葉によって捧げさせられた。
夢を持つことすら許されず、父が遊びで作った借金を代わりに返済させられる日々。
その一方で後で産まれた弟は伸び伸びと育てられていたのだが、彼女に不満は無かった。
しかし、借金の返済が終わってやっと自由になれたと思ったのも束の間、両親は都合の良い駒を手放す気は無かった。
全てが嫌になって自殺を決意する華恋。
最後を綴った遺書には両親に対する恨み言が綴られており、その最後は後悔してほしいと言う言葉で締め括られていた。
そうして、全ての準備を整えてあの世へと旅立った……筈であった。
見るはずのない夢の中で出会ったのは、自分が産まれる前に死んだ兄、畠山蓮華。
何故かは分からないが彼を兄であると確信できてしまう。
そうして目覚める筈の無い目が開くと、目の前にいたのは死んだ筈の蓮華であった。
そう……彼女は兄が生きていた世界線へとやってきていたのである。
この世界では兄である蓮華が自分と同じような目に遭っており、華恋が死へと逃げたように、彼もまた東京へと逃げ出していたのであった。
蓮華としても連絡もしていなかった妹が急に現れた事に疑問を持ち、地元に妹がいることも確認したことで、目の前の華恋が自分の知っている妹ではないことを確信する。
華恋は自分の素性を正直に話すと、兄はその言葉を信じて受け入れてくれた。
そして、同じ傷を持つ華恋の苦しみを理解して抱きしめてくれたのであった。
初めて自分に寄り添ってくれた家族の温もりを知って号泣する華恋。
一方で蓮華の方も同じ苦しみを持つ家族が出来たことに一粒の涙を流すのであった
この物語は本来は死んでいた筈の兄と、本来は死んだ筈の妹が出会い、同じ傷を共有して寄り添い合い、お互いをかけがえのない存在へと昇華して幸せになっていく物語である。