あらすじ
神様っぽい口調で書いてますが、中身はわりと回線不安定です。
「涙」と「インターネット」が直結する世界で、うっかり詩を書き続けてしまった詩人のログ集。
誰にも届かないかもしれないけど、とりあえずルーター再起動してから読んでください。
涙が匿名化され、痛みが計量され、幸福が通知で届く時代に──
詩はまだ、「神のふり」をしてでも、誰かに寄り添うことができるのか。
『おまえの涙がグローバルIPアドレスに変わるまで、神のふりして歌ってやる』。この長大なタイトルは、そのまま詩集全体の倫理的スタンスを言い当てている。
ネット詩人・樫木佐帆は、デジタル情報社会における感情の取引、演算される善悪、制度化された「救済」に対し、詩という表現が今もなお可能であるかを、徹底して問う。
本作に通底するのは、怒りではない。
静かに冷えきった「白い日」の中で、あえて語ること、見て見ぬふりをしないこと、そして詩がまだ祈りや涙の代行装置になりうるかもしれないという、かすかな希望である。
AIが神の代わりに世界を支配し始めた今、
個人の声がログとして忘却される今、
それでも詩は、まだ「神のふりをしてでも」歌う。
読者よ、もしこの詩集にうっすらとした不安を覚えたなら、あなたはまだ人間である。
それが、この詩集が読まれるべき唯一の理由だ。