あらすじ
突然、傍にいた二人の男女とともに異世界に召喚された唯奈は、魔道士によって微弱な癒しの力しかないと判明し、国境の町に連れて行かれる。
国境の町では救護院というところで使用人のように働かされ、微弱な癒しの力で怪我人や病人を癒すという毎日を送る。
現状に納得いかない唯奈は、なぜ自分がこんな目に遭うのかと訴えようとしたが、施設長には恫喝され、力の使い方を教えてくれた神官には「木偶の坊が」と罵られる。
神官に足蹴にされたことで、唯奈自身も知らなかった自分の特異な体質を知られてしまった。
唯奈の顎を掴む神官がその爪を、唯奈の頬に食い込ませて引き裂く。
熱い痛みが走ったが、それはすぐに消え去った。それを見て神官が昏い笑みを浮かべる。
「異世界人は召喚されると、業《カルマ》によって与えられる力が決まると聞いたことがあるが……お前は余程の悪行を犯したのか?」
「……意味が、わかりません」
「女の身でありながら癒しの力を持ち――」
「っ!?」
「怪我をしてもたちどころに治る体、か。本当に呪いみたいじゃないか。そう思わないか?」
召喚されたことで癒しの力だけでなく、『怪我をしてもたちどころに治る体』になってしまっていた。
「ここでは逃げ出そうとした罪人には鞭打ち五十だが、すぐに傷が治るお前なら百の方が効くだろうな」
・・・数日後、国境の町に魔物が襲いかかる。
神官に呼ばれ、兵士に町を囲う壁の門まで連れて行かれた唯奈は、魔物を国境の向こう――隣国へと誘導しろと命令される。
怪我がすぐに治る特異体質のお陰で助かった唯奈は、大きな川に流されて隣国へと流れ着く。
魔物を誘導した罪人として辺境領を治める領主ユリウスとまみえるが、彼は幼い頃に呪いの魔術を受けたことで人ならざる異様な姿をしていた。
『呪いのようだ』と言われた特異な体質を得た唯奈と、呪いの魔術を受けて人ならざる姿になったユリウスが出会ったことで、二人の人生が大きく変わっていく――。
※「R15」は念のため、少々残虐な描写があります。
※全体的に硬い雰囲気です。そして「溺愛」までがとても長いです。
※地文は「三人称」で10話まで主人公視点ですが、11話以降は視点が各々変わります。
視点が変わっても重複するところはなるべく少なくしています。
※更新はストックを出し終わるまで、正午もしくは午後6時を予定してます。