あらすじ

これはある夏の、俺と幽霊少女の物語だ。それ以上でもそれ以下でもないというか、例えば喉の奥に突き刺さった小骨が抜けたあとにずっと残る違和感のような未練はこの物語とは完全に無縁であり、幽霊少女と出逢わなかった並行世界が存在するとしても俺は今とまったく同じ人生を歩んでいるだろうと思える程度の、ちっぽけな物語でしかない。読者諸氏にこの胡乱な物語から何か教訓めいたものを与えられるとは思わないし、読者諸氏が何かを得た気分になったとしても、それはきっと他のどこかで得たものをこの物語から得たと錯覚しただけに違いないとすら断言できる。ただ、なんと表現しようか、俺たちみたいな種類の人間には、何の価値もない他人の話を聞いて、それを肴に酒でも飲もうかというときがあるはずだし、あってもいいだろうと思うのだ。そんなとき、俺の話を肴にする奇特な誰かがいたとしたら――それが奇蹟的な確率であればあるほどに――俺は、嬉しいのである。さて、わかったらこんな前書きなんてだらだらと読んでいないで、さっさと本編に目を通してみてほしい。この文章を最後まで読めるなら、貴方は充分、俺の話に付き合えるだろうから。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2025/08/06
  • 現在の作品胡乱な夏と幽霊少女