あらすじ
誰にも名前を呼ばれず、誰にも期待されず。
無名の少年・綾瀬凪人(あやせ なぎと)は、ただ「生き残るため」に戦場へ立った。
彼の耳に届いたのは、“誰かの声”だった。
敵の位置、行動予測、最適な攻撃手段──
考えるよりも早く、体が動く。まるで自分じゃない誰かに操られているように。
それは、AIによって最適化された“戦術支援”だった。
感情を排したその“声”は、凪人を何度も生還へ導く。
だが、勝利を重ねるたびに、彼は思い始める。
「この戦い方……本当に俺が選んでるのか?」
恐怖も迷いも、痛みさえも、“正しい答え”に書き換えられていく。
敵を倒すたびに強くなる。
けれどそのたびに、「自分」が少しずつ薄れていった。
戦う理由を見失いかけたその時、凪人の中に確かに残っていたものがある。
「導かれても、進むのは……俺の足で」
AIの判断に従わなければ、生き残れない世界。
けれど、それでも“人間”として戦おうとする意志は、まだ消えていない。
無名の少年と、感情なき思考。
誰にも知られない戦場で、ふたりの戦いが始まる。
『Oris』
―この世界に、“最適解”だけじゃ救えないものがある。