あらすじ
帝国の富裕層がこぞって足を運ぶ、bar マスカレイド。
そこには、二つのルールがあった。
一つ、身分を隠し、仮面を被らなければならない。
二つ、婚姻関係または婚約関係にある者は、赤い薔薇を身に着けること。相手が居ない者は、白い薔薇を身に着けること。
誰もが仮面の裏に真実を隠し、甘い夜に酔いしれることが出来る、bar マスカレイドの常連客の一人、エステル・フロンティア侯爵令嬢。
普段は婚約者の証である赤い薔薇を身につけていた彼女が、今宵は純白の薔薇を胸元に飾っていた。
──彼女は、婚約破棄を言い渡されたのだ。
「エステル、俺はお前との婚約を破棄して、レリアン嬢と結婚するぞ!」
昼間に言い渡されたその言葉を思い返し、独り酒に飲み暮れていたエステル。
そんな彼女の元に、一人の男が静かに近づき、声をかけた。
「今晩は、レディー」