あらすじ
冷酷無比と恐れられる審問官・ゼファルが命じられたのは、
“奇跡を偽る聖職者”の調査だった。
だが神殿で出会った青年リュシアンは、誰にでも微笑み、祈りを捧げるただの優しい人だった。
疑いを向けても怯えず、裁きの剣を前にしてなお、穏やかな声で言う。
「あなたは、ずっとお疲れだったのですね」
触れるたび、視線が交わるたび、
冷たいはずの心が、音もなくほどけていく。
これは、誰にも優しく、けれど“彼にだけ特別な”聖職者と、
誰にも情を見せなかった審問官が、
ゆっくりと恋に落ちていくまでの、静かであたたかな日々の記録。
剣に生きた男が、祈りに救われるまでの、恋のはじまり。