あらすじ
― 夢の中だけに生きる「彼女」の静かな愛と別れの物語 ―
目覚めのない夜の世界――そこに、彼女は取り残されていた。
記憶のすべてを失っても、ひとつだけ確かなものがある。
それは「誰かを愛していた」という感覚。
そして、その“誰か”が、夜ごと夢に現れる青年だった。
現実に生きる彼は、彼女のことを覚えていない。
名前も、過去も、想い出も、すべてが忘れられている。
それでも彼女は、彼が夢に来てくれるたびに微笑み、手を取り、待ち続ける。
「思い出してほしい」
「でも、思い出したそのとき、私はきっと消えてしまう」
愛する人に思い出されることは、同時に自分の“終わり”を意味する。
それを知りながらも、彼女は願う。
――いつか、彼が本当に生きて、誰かを愛してくれる日が来ることを。
これは、夢に取り残された一人の少女が、
ただ一人の“恋人”を見守り続けた、優しくて切ないラブストーリー。