あらすじ
東京都世田川区、多摩川のほとりに広がる緑豊かな土地は、野地 豪汰にとって祖父・瑛人から受け継いだかけがえのない宝物だった。幼い頃の記憶が刻まれたその場所は、豪汰の人生そのものだった。しかし、その平穏は突如、悪辣な地面師グループによって打ち砕かれる。彼らの手口は巧妙を極め、偽造された書類と偽の人物を使って、あっという間に豪汰から土地を騙し取ってしまったのだ。
呆然自失となる豪汰に、さらなる衝撃が襲いかかる。地面師グループの背後には、世田谷区を牛耳る凶悪なヤクザ組織、世田川組の影があったのだ。リーダー・川面 天地は、土地を取り戻そうとする者には徹底的な「口封じ」を行うという、世田川組との血生臭い契約を結んでいた。「これほどの大きな兵器を持った所有者は、必ず俺らを突き止めて裁判を起こすだろう。ならば、怖いお兄さん達に口封じさせてやろう!」天地は、その恐ろしい思惑のままに、豪汰を絶望の淵に突き落とした。
失意の底で、豪汰は土地を取り戻す決意を固める。その夜、奪われたはずの土地に足を踏み入れた豪汰の前に、神秘的な光とともに美しい女性が現れた。彼女こそ、この土地を守る精霊、精園 木精(せいえん こだま)だった。驚く豪汰に、木精は衝撃の真実を告げる。この土地の地下深くには、紀元前3000年頃の原始人が無邪気な好奇心で作ったという人工クレーターが隠されているのだと。
「私は大正の時代からこの地を守ってきました。けれど、力が足りず、このクレーターが原因で関東大震災、阪神・淡路大震災、そして東日本大震災が起きてしまった……」木精は、日本の「地震大国」の悲しき歴史の裏側を、苦悶の表情で語る。しかし、豪汰の祖父・瑛人がこの土地の所有者となってからは、彼の純粋な供え物によって木精の力は増強され、壊滅的な大地震を食い止めてきたのだという。
もし地面師グループがこのクレーターを悪用すれば、日本全土が海の底に沈むほどの巨大地震が引き起こされる――。木精の訴えに、豪汰は言葉を失う。彼が取り戻すべきは、祖父との思い出が詰まった土地だけではなかった。愛する故郷、そして日本そのものだったのだ。
木精は、豪汰の一家直系の家系にしか見えない特別な存在だった。彼女の持つ「過去のビジョン」の能力は、地面師グループの巧妙な詐欺手口と、世田川組との恐るべき連携を鮮明に映し出す。豪汰は、親の友人であるベテラン警察官・常察 諭官と、凄腕弁護士・弁開 一護に協力を求めるが、精霊の存在とクレーターの秘密をどう説明すれば良いのか……。
愛する土地と日本を救うため、豪汰と精霊・木精の、種族を超えた絆をかけた壮絶な戦いが、今、幕を開ける。