あらすじ
オライオン王国。
史上最も大陸統一に近づいた過去から『大陸の支配者』と呼ばれる一方、芸術家の保護に力を入れ、独自の文化を花開かせたことから『大陸の華』の異名を持つ大国。
そんなオライオンの玉座に座るのは、第八代国王、クレス・オライオン。
先王である父の急逝を受けて十九で王となった若者は、『オライオンの未来』と呼ばれた聡明さを即位直後から遺憾無く発揮した。
貴族との対話を重ね、文官達の意見によく耳を傾け、さらには民の声まで拾い上げることで国内を瞬く間に掌握。
巷では『賢王』と呼ばれるに至り、その地位を盤石なものにしつつあった。
そんなクレスを公私共に支えるのが、王妃であるアモル。
クレスより二つ下のアモルは、美しい容貌だけでなく、怒りの感情をどこかに忘れてきたと言われる行き過ぎた穏やかさから民に愛され、『聖女』と呼ばれている。
二人の存在で、オライオンは五十年は安泰だろう。
貴族、平民問わずそんな声が聞こえるなか、賢王と聖女は、今日も私室で言葉を交わす。
「もう、無理だ!! 国王なんて割に合わん仕事、これ以上やってられるかあ!!」
「落ち着いてくださいクレス様。さ、今日はあの日です。たっぷりと羽を伸ばしましょう? ね?」
「……そうだな。すまない可愛い君よ。では、行くとしようか」
「はい。どこまでもお供いたします」
クレスは、愛妻アモルとともに今夜も城をあとにする。
もちろん、お忍びで。
仕事に疲れた国王夫妻の目的地は、オライオン王国の都に存在する大穴、通称『迷宮』。
これは、国王家業でストレスMAXな若き王様と、そんな彼を支える王妃様の、深夜のストレス解消物語である。